伝統と鍛錬が紡ぐ 精悍な美のルーツ島に生きる沖縄空手を堪能する舞台へ(4)神谷武史×ミゲール・ダルーズ

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(全5回連載|第4回目)
10月3日から公演される「沖縄空手御庭」。
国内外に沖縄空手の魅力を発信し続け、本公演ではプロデューサーを務めるミゲール・ダルーズ氏に、沖縄空手と作品にかける想いをたっぷり語ってもらった。


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【ミゲール・ダルーズ】
沖縄空手案内センター広報。「沖縄空手御庭」ではプロデュースも手掛ける。空手修行のためフランスから来沖し、1993年に沖縄へ移住。2005年には月1回沖縄の空手情報を届ける「沖縄空手通信」の発行を始めたほか、海外から来沖する空手愛好家たちに稽古ができる道場を案内する活動を続けていた。現在は2018年3月に新設された沖縄空手会館内にある「沖縄空手案内センター」の広報担当として活躍の幅をさらに広げている。


沖縄の生きた文化“空手”と向き合う

――長年にわたり世界と沖縄空手のパイプ役として活動されていますが、2020東京五輪の新種目に決まったことなどで、海外から見た沖縄空手を取り巻く環境に変化はありましたか?

ダルーズ変化は特にはないかな・・・。

――そうなんですね、意外です。

ダルーズもちろんオリンピックの種目に決まったのは、とても素晴らしいこと。うちなーんちゅも誇りに思っていい。新聞とかメディアにも空手がたくさん出るようになってるし、恐らくこれからもっと出てくるだろうと思います。

画像3:沖縄空手の魅力を知る空手家としても、今後の発展にかける想いは人一倍熱い。
沖縄空手の魅力を知る空手家としても、今後の発展にかける想いは人一倍熱い。

ダルーズそこで忘れてはいけないのは空手発祥の地は沖縄で、そして空手は沖縄に根付いて“今も生きている文化”であるということです。

――というと?

ダルーズもちろん県民は沖縄が空手の発祥の地であると分かっている。分かっているんだけど「首里城」と同じで実際に行ったことがない。空手を観に空手会館に行ったこともない。これは県内の課題かな。むしろ海外の空手家たちは、沖縄の空手がどれだけ素晴らしいか、どれだけ深いかを分かっている。だから今回の舞台は彼らの意見がとっても怖い、目が肥えてるからね(笑)。

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――つまり沖縄県民の誇りであるはずの空手を見てもらえない現状があると。

ダルーズかと言って『じゃあ空手演武を見に行って』って言ったとしても『自分の子供が出てないと面白くない』とかなっちゃう。それは今ある空手演武の見せ方が“道場のための演武”だから。空手を好きな人は見るけど、そうじゃないと足を運ばない。どうやったら沖縄の誇りである空手のことを気軽に見られる・学べる、そしてもっと誇りが持てるか・・・今回の舞台を制作する目的のひとつでした。

――なるほど。

ダルーズ今、沖縄にはショーではない本物の空手が見られる所がない。観光立県と言いながらどこにもない。だから今年、空手会館という立派な施設ができたのだから、いずれいつでも空手が見られる場所として何かがあるべきだろうとなった。観光客のための観光商品としては当然、やっぱり県民も見たがる舞台が必要なのかなぁと。

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――観光客のため“だけ”ではない舞台。

ダルーズ空手をやらない観光客・沖縄県民、その両者にも見て欲しいんです。

――だから“見せ物”ではなく“本物の空手を”と。いつもやっている空手を見せることが肝になってくるんですね。

ダルーズ『そう、これが本物ですよ』と。そこには素晴らしい演武をする高段者もいれば、若手や子供たちもいる。それぞれに弱い所もある。うちなーんちゅだから空手が上手いわけじゃないんですよ。空手は稽古を通して上手くなっていくものだから。そこに素晴らしさがある

画像6:真剣に語った後は、必ず柔和な笑顔を見せてくれる。その姿が印象的だ。
真剣に語った後は、必ず柔和な笑顔を見せてくれる。その姿が印象的だ。

――ある意味、今回は空手の本質が詰まった舞台になっているわけですね。

ダルーズ空手は単なるスポーツじゃなくて、一生できるお墓までのもの。そういう力があるってことを伝えたい。観光客が『空手発祥の地・沖縄ですごいもの見たよ。いつも見ている空手と違うよ、もっと深いものだよ』となってくれたら、はいヤッター!ってなる(笑)

(第5回へ続く)


神谷氏×ダルーズ氏インタビュー最終回は、沖縄空手の今後や、舞台を見に来る皆さんへのメッセージなど、最後まで余すことなく語ってもらいます。